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女で候
   ・・・・・・・  ○

チャンネルは意のまま

出会って頃の笑顔を見せて!


汝、隣人を愛せよ


胸が垂れてきた。

垂れた胸が腹と繋がって、腹が出てきた。

下っ腹が押し出されて、足がむくんできた。

下へ下へまん丸になってきた。


自分の下腹部に『おいっ』とツッコミを入れてみた22の初夏。

おめぇはこの夏を、どう越える気でいるんだと。

いい加減その着ぐるみを脱ぎ捨てて、チューブとかサザンとかの歌に感情移入できる『あの夏』ってヤツを作らなくていいのかっつー話。





このままじゃ駄目だ!

好きなモノ食べて、好きな本読んで、好きなテレビ見て・・・
そんな自堕落な生活はもっと先でもできるじゃないか!

もっと、もっと

なんつーの、こう、甘酸っぱくて、思いをはせちゃったりするような経験がなくていいのかっつー事。


雨の中、傘もささずに走っちゃうような。

一人で岬までドライブしちゃうような。

飲み過ぎてマスターにとがめられちゃうような。

海に向かって叫んじゃうような。

会議室飛び出しちゃうような。

タクシーの運転手に「空港まで!」とか言っちゃうような。

電話してワンコールで切っちゃうような。

ご飯も喉を通らないような。

タクシーの運転手に「前の車追ってください」とか言っちゃうような。

トランク一つで浪漫飛行みたいな。

お父さんに会って欲しいのみたいな。

あなたの赤ちゃんが・・みたいな。

タクシーの運転手に「どこでもいいから走って」とか言っちゃうような。


ああ、熱い恋に狂いたい!








とにかく、このままじゃ駄目だ。











迷った末、




2003年6月、私は家を出た。






家に男の子を連れ込みまくるような淫らな生活を、送るために。




ビバ!一人暮らし!







私は大いなる野望を抱えて一人暮らしをスタートさせてみた。






それは、アイツらとの目まぐるしい日々の始まりだった。

↑ ちょっと夏ドラマ風。
















エピソード1 『霊感少女』





















「あたし霊感あるんだ・・」

(夏っぽい!)

私の住んでる110号室の隣の鈴木さんは、一人暮らし一週間目の右も左も分からない私に、そんなことをカミング・アウトしてくれた。

そこまでまだ仲良くないのに。


こちとら、残念ながら霊とか全然しんじねぇ。
サンコン並に目を凝らしても見れた試しねぇ。

とりあえず、人付き合いを円滑にすすめるため、相づち打っとく。

「へぇ・・見えたりするんだ・・すごいね」

普通にいうはずが、声うわずった。

びびってねぇ。
びびってねぇ。


「それでさ、はいねちゃんの部屋・・ちょっとやばいよ・・」

「えっと・・、それは・・いるっつーこと・・?」

「いるっていうかね、通り道になってる感じ」

通り・・・



通り道ってあれ?
よく近所話に花咲かせちゃったり、商店街があったり、通学路になってたりっつーあの通り道のこと?



憤慨だっつーの!
通ってんなっつーの。
何通りだっつーの。
誰の許可だっつーの。
家だっつーの。
プライバシーの侵害だっつの。



つーか通られてるってへぼくね?

居座ってくれた方がまだマシ。

スクランブル交差点気取りかっつの。


つーか、誰も居着かないっつーことは、素通りなわけ?

なんつーの、あたしには見向きもしないわけ?






でも、私はこの世界に霊がいないってことを大槻教授からとくと聞いている。


だからこの程度のことで焦ったりなんてしない。


「へぇ、勝手に通られちゃ困っちゃうねぇ・・へへ」


貫禄を見せてみた。


鈴木さんは私の貫禄にちょっと羨望の眼差しを向けた。


私は得意げに
「まぁしょせん、霊だからねー」
とか調子のって言ってみた。
言うんじゃなかった。


したら、鈴木さん満面の笑みで言いのけてくれた。


「さすが、付いてる人は違うね!」





私、思わず笑顔凍らせてみた。





付いてる。

付いてる?

付いてるってなんだろう。



「はは・・」
乾いた笑いを出してみた。

「えへへ」
鈴木さんはお花みたいな笑顔を向けてくれた。

真意が読めねぇ。



それって、運が付いてるとか一緒かなぁ。
歯にまた青のり付いてたかなぁ。
そう思いたいなぁ。
違うのかなぁ。




あ、すげぇ気になるところ。

明日の円相場より気がかり。


喉から手が出て、その手で鈴木さんの肩を揺さぶって問いつめたい。






でも、聞けなかった。




びびってるとか思われたら、イヤだし。
なんつーの、始めが肝心だし。
始めにガツンと強さ見せておきたいし。
キャーキャー言ったら普通の女の子だし。
もし私の伝記とかできちゃったときに、武勇伝として語られたいし。




   『加藤ハイネは霊に恐れをなさない勇敢な少女でした。』
       加藤はいね武勇伝 第12章「自立の時」より参照




それにさ、私は大槻教授派閥だけど、もしも万が一、ほら、そういうことになったらさー、なんつーの革命じゃん?

もっと穏便に行きたいじゃん?

デリケートな問題じゃん?















でも・・付いてる?










「そういえばね、これが面白くってね〜」

鈴木さんは意気揚々と語りだした。

「女の霊が付いてる人は、すごい男の子にもてるんだよ。でも男の霊が付いてる子は、男の人が寄って来なかったりするんだよ。」

って言いながら、私の方をチラって見た。

チラって。



なに?そのチラ見は?

なんの合図?

そんなアイコンタクトいらねぇ。

誘惑されねぇっつーの。















付いてる?















腑に落ちない。

(付いてる?)

すっきりしないまま、私は鈴木さんの部屋を出た。

(付いてるの?)

そして、自分の部屋に帰った。

(何かが、くっついてるの?)










私は、もてない。


自分ではそれほどヘンテコに生まれたとは思っていない。


でも、もてない。


鏡を見てウインクする。


イチコロだと思う。


でも不発弾だ。


だから、私がもてないのは、神から与えられた試練だと思っていた。









へー。

そっか。

そういうことか。

道理でにっちもさっちも男にもてねぇって思ったら、そういうカラクリか。

なるほどねー。

へー。


確かにそう考えればつじつまが合う。

メンコイメンコイとおばあちゃんに言われて有頂天だった私が、もてないのはそういう因縁があったのか。







つーことは、だ。

いま、この瞬間にも、私の背後らへんには、どっかの殿方がひっついてるってわけなのね。

こ、光栄じゃん!






・・・・。





鍵を開けて、部屋に入る。


なんだか、さっきまで夢のマイホームのような煌びやかで艶やかだったマイルームが、どよんとして見えるのは何故?


ばーか、気のせいだっつーの。

マスコミに踊らされてんなっつーの。


霊だって思うから怖いわけで、
霊だって千差万別なわけで、
どれもこれも恐ろしいわけではないわけで、
つまり、
ビューネ君みたいな霊だっているわけで。




私の肩についてるのも、ビューネ君。

ここを通ってるのもビューネ君。


いやぁ、ハーレムっぽくね?
囲まれちゃってね?

まいっちゃうなぁ。











えへへ・・・。














どーであれ、恐ろしいっ!!!!









台所の水道のピチャンって音がこえぇ!

風呂場の鏡がこえぇ!

自分の背後がこえぇ!

ゴルゴに並にこえぇ。



なんか右肩重い気がする。

中国雑伎団並に右肩に乗っかられてる気がする。

私はおめぇの日曜のパパじゃねぇ!

肩車っつー柄じゃねぇ!



つーかパンツとか干しっぱなし。

見ないで!

こんな乙女の部屋を通ってんなっつーの。
下の古暮のおばちゃんちを通れっつーの。





私は藁をも掴むおもいで、携帯を握った。

んでうちの病院のアイドル、同じアパートに住んでる蘭ちゃんに思いっきり生電話してみた。



「蘭ちゃん、やべぇよ!あたし付いてるっぽい!鈴木さんいわく付いてるっぽい!」

もう武勇伝台無し。

「あー鈴木さんに言われたの?」

「うんうん!すげぇ信憑性あるんだよね。確かにって思い当たるふしとかあって超こえぇ!」

したら、蘭ちゃん爆笑。

私が涙目だっつーのに、なんて友達甲斐のない。

「あのさー、はいね。鈴木さんさー、毎回言ってるから。誰にでも言ってるらしいよ。私も言われたし。」

げ。

「ま、まじで?」

「マジマジ。私とか由美ちゃんとかさー、女の霊が付いてるとか言われてさー、一時すげぇブルーだったもん」

「え?女の霊?」

「そうそう、だから男が寄ってくるとか言われてさー、ただのヒガミなんじゃない?ったくホント迷惑だよね」

「あ、うん・・そうだね」

「つーか職場の先輩に聞いたら、鈴木さん全然霊感ないみたいでさー、勝手に言ってるだけみたいだし気にするな!」









電話を切った。







一安心した。






なんだー、鈴木さん霊感ないんじゃん!


あはは、まんまと騙されるとこだったよー。





つーか、じゃあ、なに?
男の霊っつーのは、なに?
やまかん?




蘭ちゃんと由美ちゃんは、男にもてる。
病院でも飲み会に二人が来ると男性陣の目の色が変わる。

「よーし二人が来たから、とっておきの話をするかぁ!」とか言い出す。

さっきまでの身の上話はなんだったの?っつーくらいの発言をしてくれる。

私から見ても、おもいっきり女の霊が付いてるタイプだと思う。





でも、鈴木さんに霊感はないらしい。

つーことは、ただの見かけで言ってるわけで。

あてずっぽで言ってるわけで。





その鈴木さんいわく、私には男の霊が付いてるらしい。



言い換えれば、男の霊が付いてそうってことで。









あれ・・・。



軽く失礼じゃね?





なんだろう・・、この怒りを、誰にぶつければいいのだろう。
(一人暮らしの寂しさ痛感)





するとその時!!!





ガサガサ!





台所で何かが揺れた!!!







霊!!!!





やっぱり鈴木さんはマジだった!

あたしのもてないのは実力じゃねぇ!





カモン・霊!





私は台所にそいつの姿を一目見ようと走った。





そいつは黒い影だった。


しかも、なんか見慣れた顔だった。















エピソード2 『泡で固めよう!』























ゴキブリだった。







しかも家族連れ。



アダムスファミリーよりタチが悪い。




私は引っ越してまだ一週間で、それはもう部屋は綺麗で、ホウ酸団子だって置きまくって、絶対にこいつとはすれ違わない日々を送ろうと必死だった。


なのに、こいつは、うきうきした形相で私の前に現れた。





この小さな6畳一間の空間で、こいつの存在を無視するわけにはいかねぇし。

いくら小さいからといって、こいつと夜は越せねぇ。


食うか食われるか。

倒すしかない。






私は棚から出したゴキジェットを握った。

手にじっとりと汗をかいている。



私はスナイパー並の形相で狙いを定めた。

片目をつぶって照準を合わせた。


おめぇの家庭崩壊させてやるぜ。


私は思いっきり噴射した。


正確かつ緻密な攻撃だった。

クリティカルヒットだ。




西部劇のようにちょっと揺らいでバタリと倒れる姿を想像し、私は得意げに噴射を続けた。

鼻歌まじりだった。






結末は予想外だった。





思いっきりヒットしたゴキ達は、すげぇ勢いで私のパーソナルゾーンへ入り込んできた。

死なねぇ死なねぇ。

それどころか素早さが、アップしてる。


ゴキジェットは、本当にゴキブリをジェットに変えた。




私はあまりの素早さに動揺し、逃げるときに躓いて、激しく転んだ。


起きあがると、そこにファミリーの姿はなかった。







存在を感じながらも、姿が見えない。

霊よりもデンジャラスな夜が幕を開けた。











次の日、全くの寝不足だった私は、仕事帰りに薬局へ行った。

ゴキブリ撃退コーナーで私は武器を吟味した。

ジェット系は駄目だ。

あれはユンケルに勝る滋養強壮剤だ。


その時、私の目に付いたのは、CMでおなじみ「泡で固めよお!」だった。






ビビっときた。


これなら、倒した後に捨てる時も、怖くない。

一石二鳥だ!









私は意気揚々と、泡で固めようのテーマを口ずさみながら家路に付いた。









その夜、台所でまた気配を感じた。

私の髪の毛は妖気を感じてビンビンに逆立った。



私は早速『泡で固めよう』を握りしめた。

今度こそ、確保するっつーの。



私はそーっとドアを開け、台所に近づいた。


3匹いた。


(つーか、なんでいつも大量発生?)


しかもでけぇ。

一匹一匹が5センチ弱の重量級。






しかしだ、お前らの時代は終わった。


固めてやる!



私は思いっきり噴射した。









盲点だった。








『泡で固めよう』は遠距離から相手を狙えなかった。


怖さ故に遠くから噴射した泡が霧状になって雪のようにゴキたちに降り注いだ。

彼らは雪降る街を縦横無尽に逃げまどった。



ひぃ!



声にならない!



思えば、私の人生で、特に日記上で、ゴキブリを追ってる時間のなんと長いことだろう。

男よりゴキブリの尻を追っている。

社会の悪より、ゴキブリに立ち向かってる。

銭形より追っている。

私の乙女時代は、こんなことに時間を費やしていくの?



私はちょっと自暴自棄になりつつ『泡で固めよう』を噴射した。

独身女性の悲しみをとくと味わえ!

ぜってー逃がさねぇ。

しかしあいつらは巧みなターンで、泡ジェットを避けた。





『泡で固めよう』は、当てるまでが一苦労だった。

つーか当たらなきゃ始まらなかった。

CMほど簡単にはキャッチできなかった。

ゴキが固まる前に、私のベットが、冷蔵庫が、コップが、ノートが、家の鍵が、見事に泡で固まった。



あはは〜つかまえてごら〜ん


恋人同士の追いかけっこのように、あいつは私の包囲網をいじらしい仕草でくぐり抜けた。






やっとのこと3匹のゴキを泡で固めたとき、私の家の床は、ほとんど泡で固まっていた。










でもとにかく





やったね!




加藤はいね、やりました!




ゴキブリ、泡で固めちゃいました!




私は泡に固まったゴキブリ達を見下ろした。


おめぇも年貢の納め時だっつーの。
身持ち固めちゃえっつーの。
いつまで独身貴族気取りだっつーの。


しょせん、虫。

人間には敵わないんだよ。




私はゴキブリたちを罵った。

人間の力見せつけてやった。





ちょっと狙うのが大変だけど、これがある限り、おめぇらの時代は終わったんだよ!



「この狭い地球、みんなで生きてるんだから、あんたたちの思い通りにならないこともあって当然なんだよ。」
            1997年 田嶋哲美


私は至福のときを迎えるはずだった。

いよいよ泡でくるまったゴキを床からピロンとはがして、ぽいっと捨てるという、人間としての優越感に満ちた瞬間を迎えるはずだった。







私はウキウキ気分で一匹目の入った泡をつまんだ。

そしてシールを剥がすようにピロピロピローっと剥がそうと思った。

しかしフローリングにべったりくっついた泡はなかなか離れなかった。

すごい粘着力だ。



えいっ

えいっ



するとフローリングにくっついた部分の固まった泡が破れた。



「あ」



破れたところからゴキブリが「あれ?」って感じで出てきた。


出てきたゴキブリは「あれ?」って感じで、ベッドの下に逃げていった。










おい。










あまりのことに、ノーリアクション。


狐につままれた感じで、実はその狐は狸につままれたっつーくらいの、捕らえ所のなさ。(動揺)










あとの2匹のゴキブリも剥がすときに、泡が破れ逃げていった。


フローリングに粘着して固まった泡は、破らないように取るのは至難の業だった。








みんな元気に逃げていった。


私の部屋は、そこいら中が不発の泡で固まっていた。






この、やりきれなさは、なんだろう。








つーか、え??






私は説明書を読んでみた。

3回読み返した。



そして分かったことは一つ。


『この泡には殺虫成分は含まれていません。』





あ、だめじゃん。

倒す気ゼロじゃん。

つーかゴキブリ撃退商品として価値問われてねぇ?




なのにこいつ、よく見ると箱にもデカデカと書いてある。

『泡には殺虫成分が含まれていません!』


むしろ、それが売り!みたいな。



売れねぇっつーの。

カブトムシ取ってんじゃねぇっつーの。

生きるか死ぬかだっつーの。




あたしの一人暮らしのせとぎわだっつーのに、にこにこぷんの「さよならマーチ」で閉まった門以下の捕らえられなさじゃん。
つーかこの比喩自体わかりにくいじゃん。



ああ、無力。

そして少しの敗北感。







私は力尽きて、よろよろになりながら、上の階に住む先輩ナースの自称あいぽんにゴキジェットを借りに行った。















エピソード3 『あいぽん』















あいぽんの家は汚いらしい(噂)。


だから絶対にゴキジェットもあるはず。


ついでに撃退術もお聞きしたい。


チャイムを鳴らすと、あいぽんがネグリジェのまま登場した。


「あ、すいません、あいぽん先輩、あのゴキジェットとかありますか?」

「まぁ、はいりなよ」


家に招かれた。



んで玄関入って、私、驚愕。




部屋のあちらこちらに20個くらいのコンバースが置かれている。

「コンバース」とはゴキブリを巣ごと壊滅させるという強力ゴキブリ撃退商品だ。

コンバースの餌を食べたゴキブリは巣に戻り死ぬ。
そいつの糞を食べたゴキブリも死ぬ。

すげぇ爆弾商品だ。




それが20個くらい無造作に部屋に転がっていた。




ああ、やっぱり乙女の一人暮らしたるもの、このくらい置かないと、駄目なのかぁ。

勉強になるなぁ。




私は思いきってあいぽんに切り出してみた。


「あのあいぽん先輩、このアパート、ゴキブリ多くないですか?なんかゴミとかちゃんと始末してても出るんですけど」


あいぽんは黙って聞いていた。


「あれですかねー、やっぱあいぽん先輩くらいコンバース置かなきゃ駄目ですかねー?」


あいぽんはふかしたタバコを、灰皿ですりながら一言。


「それ、多分うちのゴキブリだから」


え?


「しばらく散歩したら帰ってくると思うから」


えっと、意味が理解できない。


「なんかさー換気扇を移動するらしいんだよね。んではいねの部屋に遊びに行ってるんじゃない?」


そう言って、あいぽんはワシャワシャ笑った。

私もなんだかつられて笑った。


「やだぁーあいぽん先輩、そんなことあるわけないじゃないですかぁ。もうこんなにコンバース置いてるのに、からかわないでくださ・・・・・いよぉ・・」


凍った。


あいぽんの隣のコンバースにゴキブリが入っていき、そして出ていった。


あいぽんはその様子を見ても微動だにしなかった。

「なんかさーコンバース全然効かないんだよねぇ」



あ、なんか、目眩。









あいぽんの家にはもう二年くらいコンバースが置かれている。

コンバースの効かなくなった進化したゴキブリ達が、コンバースを食べて生きている。

コンバースでモリモリ育った重量級のあいつらが、今日も換気扇を伝って私の家に散歩に来る。







ゴキブリは人間が地球上に現れる前から生き、今も尚、活発に生息している。








手元に残った殺虫成分の入っていない『泡で固めよう』。

こいつで鈴木さんとあいぽんを固めてぇ。




一人暮らし近所付き合いゴキブリ



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