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   ・・・・・・・  ○

チャンネルは意のまま

出会って頃の笑顔を見せて!


100%善意。


嗚呼、なんというか、歯車というモノが人生にはあるようで。



例えば、私は電車にすんなり乗れない。



私が電車に乗ろうと階段を上がると、必ず電車は出発する。


電車は時刻表によって、ダイヤを乱さず動く。


私は買い物だったり、仕事が終わったりと、ランダムな時間で駅に訪れる。



なのに、誰かが手ぐすね引いてるとしか思えないほどに、電車は出発する。



どうせ出発するなら、もう出発していて欲しいのに、なぜか彼らは出発する姿を私に見せつける。


その次の電車は、大抵、当駅止まりだったってことも一回や二回の話じゃない。



たかが5〜10分の事だ。

だけど、とても悲しい。


人生の集大成をここで見せられているような。





なんかね、私はいつも、何につけてもきっとそう。


乗り遅れたバスを見てる。

(BY CHAGE&ASKA)


あれ?

乗り遅れたバスだっけ?





検索。






乗り遅れたバスを・・

見送る人を見よう・・(BY CHAGE&ASKA)




あ、結構まどろっこしい。

しかも、やや意地悪。











さてと。









先日、婦長(55(ぞろ目))とお好み焼きを食べに行った。


婦長はもともと喘息持ちで、気管支が細くて、ここ最近咳き込むことが多かった。


だから、私もちょっと気にしてた。



んで、お好み焼きのトッピングを決めるとき。


自分『明太子よくないっすか?』


婦長『あとチーズとかいいわねー』


自分『あーチーズ旨いっすね。あと何にしましょうか』


婦長『そーねぇ・・』


悩んでいると、メニューを取りに来てたバイトが


バイト『お餅を入れてもおいしいですよ?』


と、余計なアドバイスすっから、思わず


自分『あ、婦長、餅 飲み込めましたっけ?』


とか言っちゃって、婦長絶句。


バイトも絶句。


私が気が付いて、慌てて訂正した時には、婦長はみるみるどっと老け込んだ感じ。










さてと。









その帰り、電車に乗ると、珍しく座席をゲットしました。


でも、すぐに、私の前にお歳を召したご婦人夫婦が立ったので、私は急いで席を譲りました。


すると、しみじみと『私も席を譲られるような歳なのね』と。


あ。


っと思い、慌てて


自分『あー背が低いので、つり革が掴めないかと思って・・』


とフォローのつもりが


旦那『母さん、腰が曲がってるってよ』


っつー旦那の冷やかしで


家内『つり革くらい掴めるから大丈夫ですよ』


と、かたくな。



なんつーか、女心と秋の空ってのを身をもって実感。









さてと。









しばらく座っていると、車内に異変。


私の隣の席に、すげぇ酔っぱらった、ちょっとしたプチ家出っぽいおじさんが座った。


なんつーか芳しい香り香る密室。


しかも世界の小澤並の指揮者っぷりっつーか、
激流のカヌー下りもビックリの船漕ぎっぷりっつーか、
正直、もう勝負時のジェンガ並のグラつき見せてる。


んで、そのたびに、もわもわーもわもわーと甘酸っぱい初恋のポワゾン(ポワゾン?)。



たまらん!と右隣のサラリーマンや、その隣のOLが戦線離脱した。


私もさすがに逃げようと思った。


しかし、躊躇した。


だって、なんつーか乗車客の目がすげぇ冷たい。


このイタイケなおじさんに対してすげぇ嫌な目。


なんつーか、なんつーか、人が人をそんな目で見るのってすげぇな、と。


五郎さん(仮名)がそこまで何かしたのかよ、と。


そんな侮蔑が人間同士にあっていいのかと。


だから、いつまでたっても戦争は・・・(思案は無限大)



つまり、私は、これじゃいかん!と思ったわけで、もう絶対席を立たないと決めた。



とりあえず、口呼吸で。


でもなんか、口呼吸だと、臭いを喰ってる気がして、万が一、味でもしようもんなら恐ろしいと思い、鼻呼吸で受け止めた。


私は、みんなに人間の器の大きさを見せつけるように、涼しい顔で五郎さんの横に座っていた。


人間ってのはこうあるべきなのよって知らしめた。


涼しく凛とした顔で、逃げ出した小市民のOLやリーマンを見てやった。


どうなのよって顔で。


OLやリーマンはそんな私の姿を見て、顔を赤らめて目を反らす。


はずだった。


したっけ、五郎、思う存分に寝こけ出したから参る。


私とOLの間に立ちはだかる、五郎の揺れる頭。


電車の揺れに合わせて、サンバのリズムで、五郎が私に被ってる。


五郎の頭が思いっきり私の視界さえぎってる。(3拍子で)


なんつーか、どうせ寝るなら、肩に寄りかかって欲しかった。


五郎はちょっと前のめり気味に私の方へと被ってきた。




あ、ちょっと逃げたいかも。


一気にOLに助け求める目になっちゃう。


目が泳いじゃう。


でも・・だって・・・人間だもの。


今更、逃げたら、チョー恰好悪い。





私は耐えた。





目前にユラユラ揺れる五郎の頭を、まるで無視。

無反応。


もわもわが、もう、今、鼻の真ん前で踊ってる。

アリーナ席。

最前列。





さもいい人ぶって、みんなを睨み付けた分、今更うざい顔も出来ない。


能面顔。



乗客たちは、五郎をものともしない私に、興味津々。

事の顛末伺ってる感じ。



五郎の睡眠はますます深くなり、傾きは鋭角になってくる。


なんつーか、ちょっとずつ頭が垂れて、腹辺りまで迫ってきた。






嘘・・。


これさ、


このまま下がってきたら、


最終的に膝枕にならない?


私と五郎の膝枕、公開?



それちょっと、おかしくね?



たしかに五郎は大事だし、五郎の人権尊重したい。

でも何と言っても、五郎と私は所詮他人っつーか、膝枕するほどの間柄じゃ全くない。

名前も知らない出会いたて、ほやほや。


でも、なんつーか、今更逃げらんない。

もう腹まで来てる。

逃げるタイミング逃した。

なんつーか、今頃逃げるにしてはきっかけが掴めないっつーか、平然と座りすぎて、今更慌てた顔できないっつーか・・。


でもさ、でもさ、

おやじの頭はもう私の腹付近まで横に垂れ下がってっるわけ。

その状態で、私が平然とした顔してるのは、なんつーか有り得ない光景で、駅で新たに乗ってくる客は、すげぇ不思議な顔で見てくる。


私も今となっては何でこんな事になったのか不思議っつーか。



ああ、オヤジの頭が、もう、膝に触れそうっつーか、あとちょっとで私の膝と彼の頭は合体し、膝枕完成しそう。


お祝いのテープ切る準備はできてる。



髪の毛が、サワサワ触れ出す。








オヤジ(五郎)と私が




新たな関係、紡ぎ出しそう。










あ。






乗っかった・・・。






ずっしり。






恥ずかしい!!



思いっきり膝枕してる。


全然知らない人の頭を、たわわな太ももに乗っけちゃってる。


あー男っ気ないなぁって思ってた最中、まさか、こんなところで、こんな人を膝枕するなんて!


つーか、おもいっきり他人!思いっきり他人!



他人を膝枕しちゃってる現実から目を反らしたい。


乗客は私の真意を伺ってる。


目が『いいの?』って問うてる。


中には『知り合い?』って問うてる。


知らない知らない。

寝たふりしたい。

でもオヤジの頭が膝に乗っかって、目を閉じたら変じゃねぇ?

うっとりしちゃってるぽくねぇ?


目を閉じることもままならない。


つれぇつれぇ、すげぇつれぇ。



私はただ婦長の体調が心配で、
私はただご婦人が立ってるのは辛いかと思って、
私はただ人に対してそんな扱いはないんじゃねぇのと思ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。








あ、中野駅着いた。






あ、頭乗ってるから降りられねぇや。







ドアが開いて、やがて閉まった。



仕事帰りのサラリーマンたちが、何か言いたげに私たちを見てる。


五郎はすっかり寝こけて膝上で寝返りを打つ始末。








さてと。












プライドと義理人情の狭間で、五郎と私の旅は続く。



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