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女で候
・・・・・・・ ○
●
○
チャンネルは意のまま
出会って頃の笑顔を見せて!
忍び寄る黒猫の気配
家にいる時ってどんな感じ?
ドラマで良くある場面。
恋人が突然、自分の家にやってくる。
いい女『どうしたの?こんな時間にずぶ濡れじゃない』
いい男『・・・どうしても顔が見たくなって』
ドラマじゃすんなりうまくいくこの場面、あなたは対応できる?
時々いる。
現実世界にも。
びっくりさせたい男。
突然家に行って、「会いたかったから」なんて阿呆な事言ってグッとこさせようなんて勘違いしてる人。
そう言う状況に、あなたは適応できる?
えーっと、私は無理無理無理。
完全に居留守です。
私の家での姿は、言うなれば、貝殻取られたヤドカリだ。
髪なんか起きたまんまのぼっさぼさ。
(無造作ヘア?違うよ、前髪がいかりや長介の口みたいだし)
ボクサーパンツと萎びたブラ。
(セクシー?違うよ、色んな所からお肉がはみ出してるし)
そして素顔。
(ソフト麻呂?そうだね)
超楽珍。
もうホント誰にも会えない姿。
機織りでもしちゃいたい位。
だから私はいつも平気で来客無視。
ジャイ母『はいねー。じゃあ行ってくるから留守番よろしくね』
スネ父『10時に宅急便来るから、よろしくな』
へいへい。
と、私は返事をした。
宅急便は、もう最初から無視しようと決めた。
『何か来なかったよー』って言えば平気でしょ。
くらいの勢い。
この年になって、満足に留守番も出来ない。
そんでもって私は、ひとっ風呂浴びて、『FF10でもやるかあ』、と一度クリアしたがPSに電源を入れた。
(FF10あなたはやりましたか?
世界で一番美しいキス見た?
あれを見るたび、感じる焦燥感は何?
恋してー!!
でも、かたや私、
こんなゲームで一日をつぶしたりして
今なんて誰もいないことを良いことに
頭ぼさぼさの
ソフト麻呂の
パンツ一丁よ?(ブラ脱ぎ捨て)
もうガクトもびっくり。
ああ、でも、やっぱりこの場面
うっとり・・・・。
だって水中でチュウだよ。
ゲームだから、
水中で鼻水がでることもないし
ましてや鼻提灯だってできない
ああ素敵
もう一度見ようっと・・)
ぴーんぽーん。
やば!
10時。
宅急便だ!
私は現実世界に引き戻されたことに軽く舌打ちしながらも、ゲームを続けた。
『はいねさーーん』
はいはい、私は居ませんよ。
『宅配便でーーす』
留守ですよ。
『おかしいなあー』
ピンポンピンポン
いっぱい鳴らさないで下さい、居ないんだから。
『あれー、聞こえないのかなあ』
居ないんだってば!しつこいなあ・・・
『はいねさーーん』
何回呼んでも無理。
所詮あなたは玄関の門の外レベルの男なんだよ。
『おっかしいなあ』
お前がおかしいよ。声がやけにダイレクトに聞こえてくるし。
声でかいね。
声響くね。
伸びがあるよ。
でもね、私はいないの、帰ってね。
『何だかなあ』
何だかなあって、ちょっとウケル。
ごめんね、あなたの顔ちょっと興味があるけど、
私パンツ一枚だし、
髪はムッシュだし(かまやつ)、
顔は麻呂だし、
ハンコがドコにあるかも分かんないし、
箸より重い物持てないし、
ちょっと、お会いできないみたい。
『チャイム壊れてんのか』
だからもう、帰ってよ。
『ドア開いてるのになあ』
ドア開いてても留守は留守だってば!!
え
ドア開いてるの?
なんて言った?
ドア開いてるの?
お父さんたち、ドア開けて行った?
(うちには前まで犬が居た。そのせいもあって家のドアを開けっ放しにする習慣があった)
まじかよ!!
道理で声が響くわけだし!!
『はいねさーん』
彼の足音が玄関の前まで近づいてきた。
『はいねさーん』
玄関からダイレクトに呼ばれる。
借金取りか!!
イイじゃん、宅配なんてまたくればさー
私は慌ててリビングの電気を切り、人のいない感じをアピールした。
困る。
部屋に上がられたら、どうしよう。
彼の居る玄関から、すぐにリビングになっている。
そこにはパンツ一枚の私が居る。
もはや私のパンツは、ドア一枚に遮られているのみだ。
私は最悪の状況に備えて、着る物を探したが、ココにはなかった。
全部二階の私の部屋だ。
しかし、そこには彼の前の階段を通ってしか行けない。
『はいねーさーん』
ああ、もう止めて・・
諦めて・・・
私はパンツ一丁でビクビクした。
机の下に隠れてみた。
あ、でも見つかったらこの方が怪しいし。
ああ、どうしよう。
彼も何かをぼそぼそ呟いていた。
彼も迷っているようであった。
この東京でドアまで開けているクセに、中に人はいない。
いや・・いるはずなのに、出てこない。
どういうことだ・・。
と嘆く。
彼と私の我慢大会が続いた。
彼は無言で玄関に立っていた。
私は息を止めるような気持ちで、机の中で目を見張った。
早く帰れ
早く帰れ
早く帰れ。
早く帰れ。
テレパシーを送った。
無理だった。
二人ともが黙ってしまうと、周りの音が溶けるように響いてきた。
隣の大坪さんが花に水をあげながら、隣の小堀さんと世間話する声。
向かいの家の犬の工藤静香ふうな鳴き声。
それからゲームの効果音。
しまった電源の落とすの忘れてた。
FF10。
これは今までのゲームと違って、全部のセリフがアフレコされている。
つまり、こいつら勝手気ままにお話ししてくれちゃったりするわけ。
主人公ティーダ『そうだ!ザナルカンド行こう!』(ありがと。タッキー)
ヒロインユウナ『私ブリッツ見たい!声がかれるまで応援して、朝まで騒ぎたい』
ああ、ゲームの中の二人は大はしゃぎ。
そのはしゃぎ声は、彼まで届いたらしい。
『はいねさん・・・?』
あ、問いかけてる。
いないよ・・
いないよ・・
いないよ・・
せっかちな彼ったらもう、リビングまで突入してきそうな気配。
ああ、ストーリもどんどん進んでいく。
ヒロインユウナが目を背けられない現実に涙を流すシーンに突入。
ヒロインユウナ『できないよ・・・いけないよ・・行けないんだよ(大泣き)』
ああ、来ないで来ないで来ないで。(大泣き)
主人公ティーダ『ユウナ』
主人公ティーダがヒロインユウナのかたをグッと引きよせた。
『はいねさーん。いるんですかあ?宅配便です、出てきてもらえますか』
出てきてもらえますか?
に、何だか彼の確信めいた響きを感じた。
彼は決心した様子。
そうして彼は靴を脱いだ気配。
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
リビングの40インチの大画面では熱いラブシーン。
机の下には、パンツ一丁の私。
音楽はかなりの盛り上がりで『素敵だね』が流れる。
何とも素敵じゃねぇ事態!!!!
なんて挨拶しよう。
っていうか私、フルパイじゃん!!
とにかくそれを手で隠して、
わ、しかもパンツこれ・・地雷パンツだし
(9月6日日記参照『地雷パンツ』宣伝)
もう、これ、どんなことになっちゃってんの!!
(大パニック)
ってことがありました。
(終わり)
(終わりにしたい)
結局、彼がリビングの扉を開ける前に、私は机の下で、椅子にかかってる弟の学ランを見つけました。
私は藁をも縋る思いで学ランを着ました。
彼はリビングにはいることを躊躇っていました。
そんな時、弟が帰ってきました。
弟は家の中に入ってる宅配便業者にちょっと驚きましたが、平静を装って、ハンコを取りにリビングに入ってきました。
そこで自分の学ランを着て、机の下に隠れてる姉を見てかなりの衝撃を受けていました。
平静は装えない様子でありました。
テレビではめちゃめちゃのキスシーンが流れていました。
『な・・何してんの姉ちゃん・・・』
『私にも・・さっぱり・・(もう、何が何だか)』
ハンコをもらった彼は、明るく礼を言い帰っていきました。
残された私と弟は、気まずい様子でした。
『何で俺の学ラン』
『着るもんがなくてさ。・・えへ』
『脱いでよ、クリーニング出すんだから』
『いや・・この下、何にも着てなくて・・うふ』
『・・・・・・ホント・・・・・・
・・・・・・・・何してたんだよ』
ホント・・・何してんだろ・・・(涙)。
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