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徹底討論
女で候
・・・・・・・ ○
●
○
チャンネルは意のまま
出会って頃の笑顔を見せて!
DOっ!
お父さんと暮らしていると、世の中矛盾だらけだ、と思う。(娘より)
あーもう嫌になっちゃう。
と思いながら、脇毛を剃らなければ、乙女生活は、ままならない。
毎日、毎日、毛を剃りまくり。
そぎ落としまくり。
風呂場にて。
ジョリジョリいくよ。
数分後、その風呂場に父が駆け込んできて、
あー嫌になっちゃう、
とか言って、育毛剤を頭に叩き付ける。
毛よ。
毛よ、一本でもいい。
生えてこい!
伸びてこい!
と。
同じ部族で、同じ家族で、私たちはさっぱりわかりあえない。
毛を巡ってせめぎ合う。
風呂場の鏡を取り合う。
世の中に渦巻くモノ。
それを求めるヒト。
それは川の流れのように一方向に進むものではなく、
トラがトラを追いかけて最後にバターになっちゃうような・・・
まじ?バターは盲点だった・・!
トラもびびったと思うよ。
目が回るくらいは覚悟してたかもしれないけど、
バターは眼中外でしょ。
つか、ちょっと強引だよね。
トラ柄のシマシマ部分はどこ行ったんだっつーの。
・・・みたいな意外な方向へ日常を巻き動かしていく。
らしいよ。
最近めっきり冷えてきて、うちの診療所にも風邪の患者さんが増えてきた。
待合室には加藤茶とキタキツネと森進一で溢れていた。
ちょっとひねりすぎた。
つまり、くしゃみと咳きとしゃわがれた声が充満してた。
私の心は躍った。
この時期、何が楽しいかって、
風邪っつーものは老若男女差別なく襲いかかり、
普段ドラクエで後ろに棺桶付けて歩いてるようなお爺さんお婆さんばかりではなく、
もちろん私は高齢者だいすきなのですが、
やはり!
ここはやはり!若者。
若い力と 感激に
燃えよ若人 胸を張れ
歓喜溢れる ユニホーム
肩にひとひら 花が散る
花も輝け 希望に満ちて
競え青春 強き者
もう思わず『若い力』(応援歌)独唱しちゃいます。
この歌、有名だと信じて疑いません。
分かんない人は、自分でセコセコ調べて下さい。
ご自慢のインターネットで!
まぁそんなわけで、若い人もチラホラ診療所にいらっしゃるので、私も浮き足だちます。
中には年頃の女性もいるわけで。
アパレルっぽいすげぇ美しい女性が、来たりもします。
私が体温計をおずおず差し出すと、
うふっ
って感じで微笑むと白魚のような手でそれを受け取りました。
なんだか、とてもイイ匂い。
こりゃたまらねぇな、と思う反面、
この人と私は同性であり、これからの子孫繁栄世界において戦って行かなくてはならない敵であると思うと、もう風邪を治してやってる場合じゃない!
でも、これが私のお仕事です。
診察室に入り、美女を先生が診察します。
今日は女医さんで、この先生がまたベラボーに美しい。
美女医と美患者と私。
二通りの意味で、たまんねぇ・・。
先生はスラスラとカルテを書いて風邪薬を出した。
私はハッと気が付いて看護婦ぶりを発揮した。
『妊娠の可能性はありませんか?』
みのもんた顔で聞いた。
ちょっと油ギッシュに。
患者はちょっとうつむいて
『あ・・それが・・』
と。
奥さん!聞きましたかっ!
うん。
妊娠判定のテストチャックをうちの診療所は置いてない。
うちの診療所は、いつもはそんなこと疑う余地のない
『もう干上がって千年たったよ、ワシャシャシャ』
っつーようなポスト仙人の方々が利用する診療所なわけで、必要がないのだ。
美しい女医は、言った。
『加藤(はいね)さん、近くの薬局で買ってきてあげて』って。
美しい患者が、頼りなげなキラキラしたつぶらな瞳で私を見る。
瞳が言ってる気がした。
『 Can you buy it? 』
(子供はケツ洗って帰りな)
マゴマゴした態度を取ったら、ヤられると思った。
やつらに背中は見せられない、と思った。
ここで逃げたら負けだと思った。
『わかりました!じゃあ、しばらく待合室でお待ち下さい』
(夢見る少女じゃいられまい。)
私は言った。
妊娠判定薬を買うくらい、何でもない事よ、と言うようにスラッと言った。
私は婦長と事務長に『じゃあチョットDOテストでも買ってきます』とか清々しい笑顔で言って、財布を握りしめて、診療所を出た。
ゲッソリ
生まれてこのかた、触れたこともない。
(妊娠検査薬どころか男性にすら)
(目で妊娠させると有名だった長谷川くんとは何度か目が合った)
必要を感じたこともない。
だからこそ買うのが夢でもあった。
彼には言えないわ・・とか憂いを帯びた感じで、
もしくは、愛おしそうに腹を愛でながら、
マチコ巻きのスカーフ姿で、そこにあるドラマを慈しみながら、手に取る予定だった。
己(おのれ)のために!!!
私は木枯らし吹く薬局の手前で、じっと立っていた。
手はグウだ。
桃色のカーディガンがパタパタとはためいた。
診療所から一番近い薬局は、
診療所によく来る常連の患者さんが営む薬局だった。
顔見知り。
いいの。
私が使うんじゃないし、患者さんが使うから、私が買いに来たわけだし、これも私の仕事だし。
私は堂々と薬局に足を踏み入れた。
ウィィィィィィン。
『いらっさいませー。あーこんにちわー』
『こんにちわー、寒いですねぇ』
『そうですねぇー』
『・・・』
『・・・』
『に・・』
『・・に?』
『・・』
私は湿布薬の棚を興味ありげに見るふりをした。
どの辺にあるんだろう。
どの辺に置いておくものなんだろう。
私は何か知らないけど、湿布薬を手に取った。
そしてウロウロした。
つーか今日に限って、薬局の主どころか奥さん、その跡継ぎ息子まで勢揃い。
そろいもそろってレジに立って、隣の家のネコの話をしている。
もっと明日の薬局について話し合えっつーの。
私は少しずつポジション移動し、妊娠をブロックする商品棚らへんを発見した。
あ、この辺怪しい。
この辺にいる私も怪しい。
私は向かいの棚のビタミン薬を見るふりして、背中からチラチラ例のブツを探した。
ない・・・
つーか、パッケージもあんま知らないから、あるかどうかすらわからない・・・
ドッと疲れた私は、思わず湿布薬の箱を落とした。
慌てて拾おうと、しゃがんだ。
あ、
自分のケツのでかさを、過信していた。
私の一人おしくらまんじゅうで、後方の棚を震度4で揺らした。
(最近、東京で地震が多くて冷や冷やです)
商品が飛び散った。
阿鼻叫喚!
愛の箱達がバラバラと足下に落ちた。
クソっ!
よりによって、私の最も馴染み無い商品ばっか。
慌てて私は拾い漁った。
なんつーか、こいつらを両手いっぱいに抱える日が来るなんてね。
私もされど大人になったなあと。
その時になって、ようやく談笑していた薬局主(留三 72歳)が声をかけてきた。
『何かお探しですか』
もう、おもいっきり探してます。
『あ、あの、にんっ、にん・・』
ハットリ調。
『妊娠検査薬ありますか?』
レジにいた奥さんが、レジの棚を指し示した。
『ここ』
うわー、買いにきぃ!
目の前じゃん!
教卓前じゃん!
真っ正面じゃん。
比べて善し悪し選べねぇじゃん。
『りょ領収書つけてください』
クリア。
楽々クリア。
『買ってきました!』
私は堂々と診療所に帰った。
こんなことお茶の子さいさい、買い慣れてますよって感じで、買い物袋を婦長の席に叩き付けてやった。
したら、中の商品が飛び出した。
婦長が言った。
『え・・?サロンパス・・?』
おもいっきりカモフラージュしてる。
とにかくクリア。
私は待合室の患者を呼んで、検査薬を手渡した。
悠々と。
なにせ相手は人類男性争奪戦のライバルである。
私はちょっと勝ち気に言った。
『使い方はおわかりですか?』
もちろん知ってますよね。
知ってるのが普通ですよね。
レディのたしなみですよね。
もしかして、知らないって事はないですよね。
という含みを聞かせて。
美女はつぶらな瞳で言った。
『あ、どうやって使うんですか?』
うわー!
知らねぇでやんのー!
使い方もしらねぇでやんのー!
爆笑!
おめぇ知らねぇのー!
そんな美し顔でー!
つーか、あたしも知らねぇー!
やべぇ、知ったかぶった。
まさか、おたくも知らないとは思わなかった。
でも物知り顔をした手前、しかも看護師である手前、私も知らないとか、今更言えない。
私はギクシャクしながら
『中に説明書入ってますから、簡単ですから、中に説明書入ってますから』
って言いながら、戸惑う美人をトイレに無理矢理押し込んだ。
ドアを閉めてホッと息をつくと、
その様子を婦長がモノ言いたげに見ていた。
『簡単・・なんですよね・・』
『えっ・・えぇそうよ!』
婦長 (55歳、独身)
女の戦いがここにもあった。
しばらくすると、美人がつぶらな瞳でトイレから出てきた。
『簡単でしたぁ!』
DA・YO・NE。
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